[連載]
[第24回] 父の介護と、父の死と、怒濤の日々が続いた、50代の2年間

この連載を始めた頃の私は53歳、そして、今の私は55歳。この約2年は本当に怒濤の日々でした。
当初はね、「ほどほどな毎日」というタイトルにもあるように、もっとのんびりとした時間を過ごすもんだと思っていたんですよ。それこそ、第一回では富士山登山をきっかけに、失いかけていたメスの本能が目覚めた話を書いていて。あの頃は、消えかけた
実は、その父も昨年末に亡くなりまして。このエッセイでは父のことをたくさん語ってきただけに、ちゃんと皆さんにお伝えしたいところなのですが……。具体的なエピソードを語るのは「まだ
少しずつ日常が戻りつつあるけれど、自分のことだけを考えて生きていたあの頃には、まだしばらく戻れないんじゃないかな。まず、父は亡くなってしまったけど、母との時間がまだ残されていますから。完全に介護終了ではないというか。空のまま炊飯器を炊いてしまったり、味噌汁のワカメが全然切れていなかったり、物忘れが激しくなってきたり……あやしい部分は多々あるけれど、今のところはまだ元気、一人で生活できるくらいには元気。それだけに「相変わらず口うるさいな」「性格がきついな」とイラッとしてしまうこともあるんだけど、母を大事にしてあげないと父も悲しむだろうし、そんな母もまた介護が必要になるときがいつかやってくるわけで。そのときは「お父さんのときよりは納得できるような最期にしてあげたい」と思う私もいたりして。まだ数年はきっと、気にしながら、囚われながら、私は生きていくんだろうな。まあ、「ご自由にどうぞ」「好きに生きてください」と急に解き放たれても困る気がするから、それが逆に今はありがたかったりもするんだけどね。
周りの先輩達から「50代は変化のとき」とは聞いていたけど、ここ数年は本当にいろんなことがものすごい勢いで変わったよね。恋愛に関する意識もまた同じで……。先日、『踊る!さんま御殿!!』で
55歳、恋愛の戦場を自ら
やっぱり、父の死を経験したのが大きいのかな。介護士さんや看護師さんをはじめ、父の周りにいた人達には本当に感謝しかなかったし。介護をサポートしてくれた地元の同級生もまた同じ。たくさんの人と関わり、たくさんの優しさや思いやりを知りながら、それぞれの人生にも触れることができたというか。父の生き様もだし、周りの人の人生もだし、誰しもがいろんな思いを抱えながら生きていることを痛感して、より他人の思いに寄り添うことができるようになっているのを感じているというか。もうね、街にいるおじいちゃんおばあちゃんの話とか永遠に聞くことができますからね、私(笑)。「そうなんだ、そんなことがあったんだ、すごいね、大変だったね、ここまで一生懸命に生きてきたんだね、この先も長生きしてね」って。

聞き手・構成=石井美輪
イラストレーション=中村桃子
※今回で連載は一旦終了となります。ご愛読ありがとうございました!
単行本の発売予定ほかについては「集英社学芸編集部ホームページ」にて後日お知らせいたします。

大久保佳代子
おおくぼ・かよこ●タレント。1971年5月12日生まれ、愛知県出身。
千葉大学文学部卒業。1992年、幼なじみの光浦靖子と「オアシズ」結成。「めちゃ×2イケてるッ!」でのブレイク後、バラエティ番組にとどまらず、コメンテーターや女優としても活躍している。近著にエッセイ集『まるごとバナナが、食べきれない』(集英社)、『パジャマあるよと言われても』(マガジンハウス)。





