[リポート]
ダ・ヴィンチWeb立ち読み読書の会
ゲスト:佐原ひかり
集英社文庫とダ・ヴィンチWebが合同で開催する読書イベント「立ち読み読書の会」。その場で皆で同じ作品を読み、感想を伝えあうという、新しいスタイルの読書会です。記念すべき第一回が6月19日に集英社で開かれ、課題図書『ペーパー・リリイ』の著者・佐原ひかりさんも参加されました。新しい本と向きあう静謐の時間と、佐原さんと参加者が交流する熱気あるトークタイム。読んで語らう読書会のリポートをお届けします。
取材・文=砂田明子
40分間の「読書タイム」
読書会が始まると、まず「読書タイム」です。約40分間それぞれのペースで、自由に作品を楽しんでいただきました。

40分間の「読書タイム」。一人でするのとはちょっと違う読書を、参加者は思い思いに味わっているようでした。
佐原さん登場「トークタイム」
読書タイムが終わると佐原ひかりさんが登場し「トークタイム」に入りました。『ペーパー・リリイ』は、結婚詐欺師に育てられた17歳の
──作品がうまれたきっかけは?

「トークタイム」に登場し、質問に答える佐原さん。
佐原 まず、風景をたくさん書きたいという気持ちがありました。で、めちゃくちゃ安直なんですが、ロードノベルにすれば書けるなと。それから当時、マルセル・モースの「贈与論」に関心を持っていたんです。社会は与えることと、受け取ることと、お返しすることで成り立っているという論なのですが、たとえば誕生日プレゼントをもらったらお返しをしなければいけないとか、自分はプレゼントを贈ったのに、相手からもらえないとモヤモヤしたりとか……本来自由であるはずのやりとりに、義務が生じるようなことが人間関係にはありますよね。そうしたことに興味があったので、「贈与論」を結び付けた話を考えていきました。
──杏とキヨエの旅の目的を「幻の百合」にした理由は何ですか?
佐原 いい質問なだけにネタバレしないように説明するのは難しいのですが、最初はバルザックの『谷間の百合』を組み込みたい気持ちがあったのと、女性同士の関係に「百合」という言葉が使われやすいんですね。でも一筋縄ではいかなくて、というところから思いついた感じです。
──目の前でたくさんの人がご自身の本を読んでいるのはどんな気持ちですか?
佐原 なかなかない状況ですよね。「読書タイム」の間、私は控室に居たのですが、ずっとドキドキしていました。学校や会社帰りの時間帯なので、睡魔に襲われてもおかしくないと思いますが、みなさん、大丈夫でしたか……?(会場の頷きに対して)ありがとうございます。
──普段、どのくらい本を読んでいますか? 作家さんの日常が気になります。
佐原 作品を書いている最中は、関連する本や資料を集中的に読んでいます。私はもともと図書館司書をしていたんですけど、今も司書の方を頼っていて、この作品でいえば贈与論の本とか、百合の生態に関する本を取り寄せてもらったりしました。月によって異なりますが、今月はまだ5、6冊しか読めていないですね。

参加者へのお土産は「よまにゃ」のドリップバッグコーヒーでした。
──集英社で文庫化されたことについての率直なお気持ちは?
佐原 手に取りやすい文庫になったことがまずありがたいのに加えて、実は「ナツイチ」に入ることは、私のキャリアの中のいちばんの野望でもあったんです!2026年のナツイチラインナップに入れていただいて、たくさんの方に読んでもらえることがとても幸せです。
「立ち読み読書の会」は今後も開催予定です。どうぞご期待ください。
【アンケート回答より】
参加者から寄せられた読書会や作品の感想をご紹介します
●(作品について)年齢も立場も違う二人がお互いを支えあっていて、家族とも友達とも言い切れない関係性が面白いと思いました。
●今後の趣味の一つに小説を読むということが加わればと思い参加しま
した。とても読みやすくてあっというまの40分間でした。続きが楽しみです。
●(トークで)贈与論が出てきてびっくりしました! 幅広い見識とそれを小説にしようという感性にしびれました。
●いろんな作品をオマージュされているということで、佐原さんの読書や作品に触れている幅広さを感じられて楽しかったです。
●青春時代、氷室冴子さんを読み漁りました。その方の賞をとられた方で注目していました。頑張ってください。
●『スターゲイザー』を読んで佐原さんの作品が大好きになったのですが、実際にお会いすることができて楽しかったです。
●今後の開催情報は集英社文庫公式X(@shueishabunko)をご確認ください





