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集英社コバルト文庫創刊50周年
ときめくことばのちから展 ─少女小説家は死なない!─

[リポート]

集英社コバルト文庫創刊50周年
ときめくことばのちから展 ─少女小説家は死なない!─

1976年に創刊されて以降、少女小説の枠組みを越えて
多くの読者に愛されてきた「コバルト文庫」が2026年、創刊50周年を迎えた。
半世紀もの間、様々な著者の筆で綴られ、悲喜こもごも読者の心をつかんできた
思い出深い「ことば」の数々を展示したのが、去る4月29日から12日間開催された
企画展「ときめくことばのちから展 ─少女小説家は死なない!─」だ。
2500人以上のファンが足を運んだその展示の一部を本誌担当が紹介する。

文・構成=加藤真子/撮影=増田恵子

ときめくことばギャラリー
《「ときめくことば」を体感できる展示》

パネル()や来場者が直接触ることができた引き出し式(中央)、通路に吊り下げられたフキダシ式()など、趣向を凝らした展示がされていた


くるりんSTORYBOX。おススメがランダムで印刷され、おみくじのような楽しさも

「ときめくことばギャラリー」では編集部員による選定のほか、公式X上で募った読者からの投稿、大学生らの投票によって決定されたコバルト文庫作品に登場する「ときめくことば」がパネルや引き出し式などギミックを凝らした方法で展示された。各「ことば」の出典情報は、会場で案内された二次元バーコードを読み取ることで、スマートフォン上で確認できた。
 また、90年代にコバルト文庫で行われていた、人気作家のショートメッセージやイラストがFAXで直接届くという画期的な読者サービス”くるりんFAX”をオマージュした“くるりんSTORYBOX”も設置。画面の案内に従って年代やジャンルを選んでいくと、展示された「ことば」が登場する作品情報と、その冒頭シーンがレシートサイズの感熱紙に印刷され持ち帰ることができる。熱心なファンたちはお目当ての小説が出るまで、と列を作った。


各部屋6~8の名場面が人気声優の声で再現され、リピーターも

 そして盛況だったのが、〝ウィスパールーム〟。超指向性スピーカーを用いたこの空間では「まんが家マリナ」「炎の蜃気楼【ミラージュ】」「マリア様がみてる」「伯爵と妖精」の人気4シリーズの音源を聞くことができた。キャラクターに耳元で囁かれるような不思議な感覚を体験でき、それは多くの来場者を魅了したようだった。

コバルトヒストリー


くるりんSTORYBOX。おススメがランダムで印刷され、おみくじのような楽しさも

「コバルトヒストリー」エリアではイラスト原稿の展示に加え、イベントの副題にもなった『少女小説家は死なない!』(氷室冴子・著)の貴重な直筆生原稿も展示された。
 また、この企画展のOFFICIALBOOK購入者が応募できるプレゼント企画でもある、人気シリーズの作家とイラストレーターがコラボした、直筆サイン色紙が展示された。

トークショー&ライブラリー


会期中の各トークショーのあとには、同会場でサイン会も催された。写真は青木祐子さん(右)と響野夏菜さん(左)

「トークショー&ライブラリー」エリアでは、会期中に日替わりで行われたコバルト文庫レジェンド作家10名によるトークショーのほか、現在、市中にない激レアなコバルト文庫をその場で借りて読むことができた。
 開催前に行われた内覧会には歴代の作家が訪れ、レセプションの会場ともなった。その時のコメントをいくつかご紹介しよう。

正本ノン:私は氷室冴子さんが同期だったんですね。今彼女がここにいないこととか一緒に頑張っていた田中雅美さんがいないことが、ちょっとくるものがあります。コバルトの雑誌に関して言うと、創刊当時(編集部が)ものすごい忙しかったので、編集のお手伝いをしていたことがあるの。いろんな先生方のリードとかを書いたりしてすっごい面白かったことを思い出します。

久美沙織:会場に入って最初に私が思った気持ちっていうのが実は、ちょっと悲しいでした。この企画をやってくださったみなさんのすごい頑張りを、素晴らしい! と、喜ぶ気持ちより、あれ、知らないことがたくさんある、いつの間にか、私のころとは違う、みたいな戸惑いのほうが、強く来てしまって。それでもこうやってひとつのコバルトでずっと続いているっていうのがすごいです。冴子さんに見せてあげたかったです。

日向章一郎:会場を一通り見てきて、感激しました。ぼくがデビューしたのは1985年です。まさか40年後にこうしてみんなで集まってお祝いできるとは思っていませんでしたからね。
 ぼくは、短編小説新人賞の佳作をいただいてデビューしました。先のこともわからないままサラリーマンを辞めて書いたのが『放課後のトム・ソーヤー』です。数冊のつもりだったのが、「放課後」シリーズとしてその後も長いこと書かせてもらえたのは、本当にありがたいことです。短編小説新人賞は今でも続いていて、大勢の作家を生み出しています。その作家が生んだ「ときめくことば」を集めたイベントに参加できてうれしいです。


主人公・マリナのイラストを描く谷口亜夢さん

 最後のエリアでは、コバルト文庫のDNAを受け継ぐ集英社オレンジ文庫の紹介のほか、複製原画の展示販売や、展示された「ときめくことば」のアクリルキーホルダーが入ったカプセルガチャを回すことができた。会場外の壁には多くの作家・イラストレーターからの祝いのことばが書かれ、「まんが家マリナ」シリーズの装画を手がける谷口亜夢さんもイラストを残した。
 本展示の「ことば」は懐かしくも色褪せず、寄り添い「ちから」をくれるものだった。だからこそコバルト文庫は読者から親しまれ愛され続けているのだと思う。

コバルト文庫創刊50周年記念タイトルが
集英社オレンジ文庫より刊行

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