[本を読む]
元寇へと至る歴史群像ドラマが、いよいよ加速する。
北方謙三自身が〝最後の長篇〟になるといっている『森羅記』の第三巻が刊行された。元寇を題材にした作品だが、物語はそれ以前から始まる。モンゴル帝国(後に元)、鎌倉幕府、
その中でも重要な人物が何人かいる。まず、モンゴル帝国のクビライだ。本書で五代皇帝になった彼は、兄弟との戦いを経て、ラストで水軍を造り「海のむこうにあるものも、見てみたい」という。それが元寇へと繫がっていくことは、いうまでもないだろう。起承転結の起が終わり、いよいよ物語が本格的に動き出すようだ。
もっとも鎌倉幕府の第五代執権だった北条時頼は、早くから国の力を一本化し、外敵に備えようと奮闘。梶原水軍を造るなど、さまざまな手を打っている。元寇のときの執権は、時頼の息子の時宗だが、本書の時点ではまだ世の中を勉強中である。
そして海の民を代表しているのが、松浦水軍の船頭で、
他にも、ある理由から
細谷正充
ほそや・まさみつ●文芸評論家





