[本を読む]
新薬の真価を知り、「科学的根拠で減量」する
医療情報には三つの大事な要素があります。一つ目は「正確」であること。不正確な内容や悪意ある言説に惑わされないよう、根拠(エビデンス)に基づいた確かな情報を精査する必要があります。
二つ目は「最新」であること。かつて正解とされた情報も、数年経つと古くなることはよくあります。特に新薬の登場時などは必ず内容をアップデートしなければなりません。
そして三つ目が「わかりやすい」こと。どんなに正確で最新の情報であったとしても、それがわかりやすくなければ、世の中に普及するに至りません。
『減量の科学』は、世の中の多くの人にとって最も身近な健康問題である肥満とダイエットについて、広範な研究成果や診療ガイドラインに基づく最新のエビデンスを網羅しています。
著者の福田正博先生は、糖尿病の専門医として臨床研究にも携わっておられ、多くの著書があります。その中でも本書は、40年にわたる豊富な臨床経験に基づき、腹囲を減らす「腹やせ」の重要性を説いてこられた著者の集大成です。
前半は、昨今世界的に注目されている減量効果が高い「肥満症や糖尿病の新薬」の話から始まります。肥満はあまりにも身近な言葉であるため、知っているつもりになっているかもしれません。しかし、肥満と肥満症は異なります。その基本を知ることが生活習慣病の理解につながります。そして、不正確な情報に基づく薬の使用や、不適切なダイエットがなぜ危険なのかがわかります。
後半は実践編です。健康体重の目標設定法をはじめ、行動科学に基づく「科学的減量法」について、多角的な視点から一歩踏み込んだうえで、実にわかりやすく解説されています。多くの患者さんと日々接しているからこそ書ける、治療現場に即した、現実的で非常に説得力あるアドバイスが詰まっています。
体重を減らすための魔法の薬はありません。減量が必要な方、この本が示す科学的減量法をぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
田近亜蘭
たぢか・あらん●京都大学大学院医学研究科准教授





