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悲観的な世代論を喝破する
シルバー民主主義の時代がこの先もなだらかに続いていく。ゆえに高齢化社会への順応を急ぐべき。もしくは社会の活性化のために30代以下を中心とした社会のあり方を模索すべき。多くの人は、そのどちらかで社会を捉えるが本書はまるで別の図式を示す。
団塊世代が社会の中心から外れたあと、次に人口ボリュームの大きな層を形成するのは、団塊ジュニアとポスト団塊ジュニア世代、主に40代から50代前半である。この層が消費や労働で影響力を持つ社会を著者は「中年中心社会」と呼ぶ。
ただ、今の社会や企業は、その構図を見失っているのではないか。具体例として挙げられるのはテレビ業界の事例だ。
「コア視聴率」は、13歳から49歳を対象にした指標である。今のテレビ業界は、これを重視した番組制作に移行している。 例えば、ニュース番組で若手コメンテーターの起用が増えているのも、若年層を意識した編成の一環だ。一見すると、理にかなった流れだが、著者はこれを見込み違いと論じる。
今の30代以下は、マスメディアの「マス」に見合う人口規模を持たない。それ以上にテレビ離れが徹底した世代でもある。むしろ団塊ジュニア世代と、その下のポスト団塊ジュニアこそが「最後のテレビ世代」だと本書は分析する。つまり、テレビは、主要な客層を切り捨てて自滅に向かいつつあるということ。もちろん、こうした見誤りはテレビ業界だけに限らないだろう。
「中年中心社会」の核を占める40代、50代は、これまでネガティブな目線に晒されてきた。就職氷河期にぶつかり、そのまま年を重ねた。新しいツールにも弱い。上からは氷河期世代、ロスジェネ世代、貧乏くじ世代と見下され、下からはお荷物世代と見られている。本書は、このネガティブな見方を否定し、悲観的な世代論を「大噓」と切って捨てる。自分を不遇な世代の一員だと感じてきた者ほど、本書の示す新しい社会の像に驚かされるはず。
速水健朗
はやみず・けんろう●ライター、ポッドキャスター





