[本を読む]
子どもを変えるのではなく、学校の環境と先生の思考を変える
表向き「個別最適化」や「多様性」が謳われつつも、いまだに「ブラック校則」が取り沙汰され、不登校児童・生徒は増える一方。私も、これまで取材してきた不登校の子どもたちから「理不尽な校則で縛られる」「『みんなと同じ』が強制されて息苦しい」と聞いてきました。
学校に何が起きているのか。本書はそんな疑問に正面から答える一冊です。元中学校教師でスクールカウンセラーの
そこでは、学校が「毅然とした」「締める」といった言葉が飛び交う「まるで軍隊のような」環境であることが明かされます。同時に教師が抱える子どもに「舐められたくない」気持ちやジレンマの数々と、「クラスを経営する」効率重視の発想などとの板挟みになっていることもわかります。
宝上さんは教師時代、典型的な「怖い先生」でしたが、生徒の反発を招き追い込まれます。管理教育の根底には「序列が崩れることへの恐怖」があります。しかし、ルールや力による統制は、教師と生徒の権力闘争になってしまい、ルールが増えれば増えるほど、適応できない子が増える。子どもたちが通信制の学校を選択する理由の一つは、公教育が「みんなに対応できない」場所になってしまっているからではないでしょうか。
ではどうしたらいいのか。西郷元校長は「学校の環境を変えるしかない」「校則が信頼を分断するなら、なくしてしまえ」と言います。生徒たちの声を聞き、学校を来るのが楽しい場所にする。「学校を柔軟な環境にすることで、まだまだ来られる子たちはいるかもしれない」。
宝上さんは「言われてみれば、学校の中は教員の思い込みだらけ」と気づきます。個別最適化とは「クラスをまとめる」とは逆の思考です。印象的だったのは西郷元校長の「担任と生徒の信頼感さえあれば、クラスは少々荒れているくらいがいい。バラバラが楽しい」という言葉です。学校を「まとめる」ことを前提にしてきた私たちの常識を、本書は問い直します。
野本響子
のもと・きょうこ●文筆家





