青春と読書 本の数だけ、人生がある。 ─集英社の読書情報誌青春と読書 本の数だけ、人生がある。 ─集英社の読書情報誌

定期購読のお申し込みは こちら
年間12冊1,000円(税・送料込み)Webで簡単申し込み

ご希望の方に見本誌を1冊お届けします
※最新刊の見本は在庫がなくなり次第終了となります。ご了承ください。

本を読む/本文を読む

大竹 聡『酒好きの記』(集英社新書)をすすき みゆき納言なごん)さんが読む

[本を読む]

酒飲みの正解って?

 ほほぅ~、今日のオススメは、このアテか。このアテに合う酒は、うん、これだな。だとか。いやぁ~、今日はどうしてもこの酒の気分だ。この酒に合うアテは、うん、これだな。だとか。そんな粋な酒の楽しみ方。まだまだ私にはよく分かんない。ただただ好きな店に入って好きなアテと好きな酒を堪能して赤ら顔こいてご機嫌に帰る。〝かっこいい頼み方じゃないなあ〟なんて自覚しつつも昨日は最近ハマっている店のハマっているナマコ酢を三回おかわりしてしまった。
 私は酒飲みと周りから言われるし私自身も酒飲みだと思う。でも酒飲みの流儀なんてもんはないし堅っ苦しいこだわりもない。なんか良さげだな。そう思って初めて入った、居酒屋。ちょっと硬めの椅子に座りながら惹かれてしまったホルモン焼き。一口食べて〝お、これは良い肉使ってんね~〟なんて事、もちろん分かる訳がない。でも、うっまい。とにかく、うっまい。なんならちょっと肉が臭いのが、たまんなかったり。ソーダで割った焼酎は、「同じグラスで」そりゃあもう無限に進む。小洒落たディナーとは程遠い。そんな感じの私の毎晩。
 帰宅後に初めて気付く煙と脂と煙草が混じった髪の匂い。決して褒められる匂いじゃないけれどなんだか心地よかったりする。そんなんでいいじゃん。そんなんがいいじゃん。この本を読んだら私良い飲み方してんじゃん! なんて、そう思ってしまった。
 酒を愛してから十年以上は経つけど仕事終わりの一杯はまだまだ毎日美味おいしいし知らない店に入る時は緊張とワクワクが止まらない。長年付き合うと恋人とマンネリ化するだなんてよく聞くけど、酒とのマンネリ化は今んとこしばらくはなさそうだ。もちろん最初のつまみはこれ。〆はこれ。これを食べるならこのお酒で。だなんて、スマートな飲み方も素敵だけど〝くぅー! いいね! 酒もアテもさいっこー!〟だなんていう、脳で考えるんじゃなくて本能のまま楽しむ飲み方って幸せじゃない? この本を読んで、〝酒飲みに正解はない〟という正解を教えられた気がした。そんな作品だった。
 さて、そろそろ缶ビール開けて。冷凍庫には海老があるのでニンニクたっぷり入れて炒めましょうかね。

薄 幸(納言)

すすき・みゆき●芸人

『酒好きの記』

大竹 聡 著

発売中・集英社新書

定価1,144円(税込)

購入する

TOPページへ戻る