[連載]
[第14回] 心のスキマに忍び込んでくる占いと都市伝説とスピリチュアル

毎年、なんとなく年の始まりに目にする占い。2025年の私の運勢はとにかく悪かった。雑誌もテレビもどこを見ても運勢ランキングでは最下位のほうでね。また、その占い結果が当たっていると思わざるをえないほど、2025年は本当によくないことが立て続けに起きたんですよ。年明け早々、親の介護問題が勃発。バタバタと気持ち的にも眠れない夜が続き、それがやっと落ち着いたと思ったら、今度はまさかの骨折……。この54年間、占いを1ミリも信じてこなかった私ですが、ここに来てついに思ってしまったんですよね。「もしかしたら、占いって当たるのかもしれない」って。
占い師から何度も言われた「今年は彼氏ができますよ」「今年こそ運命の人と出逢えます」なんて言葉。その言葉に期待を高めた私は「この人なのか」「あの人なのか」と目を皿にして過ごしたのに、結果、いつも何も起きなくて。ただの〝誰にでも色目を使うおかしな女〟になっただけで一年は終了。今まではそんな経験ばかりだったからこそ、占いも、スピリチュアルも、私は信じていなかったんですよ。
また、この業界は占い好きがとにかく多い。私の知り合いのディレクターさんもその一人で。占いでいろんなことを決めたり、周りの人を「気が悪い」とよくわからない理由で
この出来事も以前の私だったら「何わけのわからないことを言ってんだよ」で終わるんだろうけど。なんせ、そのときの私は弱っていたのでね。次第に自分の運の悪さが気になり、今までスルーしていた雑誌や新聞の占い欄を見たり、朝の情報番組の星座占いをチェックしては「私の牡牛座は12位だ、今日はもうダメだ」と落ち込んだり。うっかり鏡を割ってしまった日には「何か悪いことが起きる知らせかもしれない」と
気づけば、どんどんスピリチュアルな世界に傾倒。そんな私が最近、気になっているのが異世界です。どうやら、この世界は異世界と交錯していて、多くの人が現実とは異なる記憶を共有しているらしくて。そのひとつが『ドラえもん』の主題歌です。皆さん、歌い出しの歌詞を思い浮かべてください。「あんなこといいな〜」を思い浮かべた人は多いのではないでしょうか。でも、それは間違いで、正解は「こんなこといいな〜」なんですよ。なぜ、こんなにも多くの人が違う記憶を持っているのか……その理由は「異世界の人間だから」なんですよ!! って、今話したことは全部、テレビ番組からの受け売りなんですけど(笑)。でも、よくよく考えてみると、異世界ってあるかもしれないよね。例えば、
世界が大きく変わると言われている〝風の時代〟を迎えたせいでしょうか、それとも、人間がテクノロジーに支配されていくドラマ『ブラック・ミラー』を夜な夜な見ているせいでしょうか。不確かな世界への扉を次々と開けながら、急に新時代へと順応。声高に「異世界はある!」と言い出した、佳代子・54歳。でも、大丈夫です、まだ私は冷静です。
先日、ドランクドラゴンの
人生には自分の思い通りにならない瞬間が多々あります。良いこともあれば、良くないことが続くことだってあるしね。そんなときは、自分を過信せず、とにかく周りの人達に感謝しつつ、確認作業を繰り返しながら慎重に生きていく。占いよりもそっちのほうがリアルに大事。2025年も残すところあとわずかとなりましたが、心が乱れそうなときは私の大好きな

聞き手・構成=石井美輪
イラストレーション=中村桃子
大久保佳代子
おおくぼ・かよこ●タレント。
1971年5月12日生まれ、愛知県出身。千葉大学文学部卒業。1992年、幼なじみの光浦靖子と「オアシズ」結成。「めちゃ×2イケてるッ!」でのブレイク後、バラエティ番組にとどまらず、コメンテーターや女優としても活躍している。近著にエッセイ集『まるごとバナナが、食べきれない』(集英社)、『パジャマあるよと言われても』(マガジンハウス)。





