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青春と読書×藝大生コラボレーション
第22回は、 美術学部デザイン科3年の作品
地元の歴史あるワサビを面白くデザインする

[連載]

第22回 カバーアーティスト
池田桃果さん

地元の歴史あるワサビを面白くデザインする

 生まれ育った東京・三鷹で生育されている希少な「三鷹大沢わさび」を、ぬいぐるみにしました。
 江戸時代、三鷹はワサビの一大産地でした。江戸前鮨がブームになったことでワサビの需要が高まり、豊かな湧き水の出る大沢で生産が始まったのです。昭和後期には栽培されなくなりましたが、今もワサビ田の保全活動が続けられています。
 ということを、「川」について調べて作品を作る、という大学の課題を通じて知りました。なじみの深い三鷹の「野川」について調べようと、川べりを歩き回ったりしていたとき、声をかけてくださったのが箕輪清さん。江戸時代、三鷹でワサビづくりを始めた箕輪家の子孫で、私の知らなかった地元の歴史を教えていただきました。
 このワサビで作品を作ろうと決めたものの、どう表現するか、悩みました。最初、パンフレットにしてみたら、あまり面白くないという周囲の反応だったので、自分が「面白い」と思う、ぬいぐるみにしようと。無心になれる手芸が昔から好きでした。
 表紙の写真は、箕輪さんのワサビ田で撮影させてもらっています。また、このぬいぐるみを、箕輪さんが管理されている「三鷹市大沢の里古民家」に展示していただいたこともあります。子供たちをはじめ、皆さんに握ったり触ったりしてもらい、親しんでもらえたようで嬉しかったです。
 もの作りも語学も旅行もホラーも……飽き性で、今はいろんなことに興味がありますが、人と人をつなぐようなデザインをこれからも考えていきたいと思っています。

聞き手・構成=砂田明子/撮影=木内章浩

<藝大生に聞く!Q&A>

Q最近感動した作品
映画『聖なるイチジクの種』

Q最近興味のあること
持続的であらゆる人が参加できる社会デザインの形について。海外旅行・語学、ホラー・オカルト、ゲームetc .

Q東京藝大での印象的な思い出
古美術研究旅行。10日間すべてが刺激的でしたし、これをきっかけにお香にハマって、今も常に切らさず買い続けてます

Q今後の展望
興味のあることをとにかくやってみて、長い目で人生に向き合いたい。今は分断の時代だと思うので、自分にできることで人と人を接続する方法を探りたい

池田桃果

いけだ・ももか●2000年生まれ。
東京都出身。東京藝術大学美術学部デザイン科3年(休学中)。
Instagram/@5gatsu_ikeda

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