大好きな人への
想いと願いを込めて

　自分にとって憧れで、大好きな方をモチーフにした女の子を描きました。その方は亡くなってしまったため、新しい姿をもう見ることはできないのですが、いつまでも輝いて、多くの人に愛され続けますように、という願いを込めています。
　顔を描くときは目線が大事だと思っています。今回も、何度か描き直した末に、ちょっと宙を見ているようなアンニュイな表情に落ち着きました。何を想っているのか……見る人に自由に想像してもらえたら嬉しいです。服は、その方の写真などを参考にしながら、自分の解釈を加えました。とてもかわいい服を着る方だったので、そうした雰囲気を伝えたいと思いました。
　６月号ということで、背景は梅雨をイメージしています。梅雨にマイナスなイメージを持つ人も多いかと思いますが、私は自分の大切な記憶に重ね合わせてポジティブに描きたかったので、雨粒をキラキラした宝石に見立てました。鬱々とした季節を晴れやかにするような、見ている人の心をそっと明るく照らすような……そんな絵になっていたらいいですね。
　舞台やミュージカルが好きで、普段は、自分が見た作品を記録として描くことが多いです。特に西洋系の舞台が好きで、衣装や背景となる歴史、関連する絵画などへ、興味が広がっています。まだ模索中ですが、そうした興味の先に、自分だけの表現や世界を見つけたいと思っています。

聞き手・構成＝砂田明子／撮影＝木内章浩