[本を読む]
小さな町はいかにして
世界都市となったのか?
外国人観光客が再び、日本中に殺到しつつある。いったい日本のどこにそんなに魅力があるのか、皆さんは実感できているだろうか。
物価が安い、治安がいい、東京や京都に一度行ってみたい、初回はそういうような動機だろう。だが、訪日回数がそれこそ二桁以上のリピーターであれば、多くが感じているはずだ。「日本の魅力は、都会以上に地方にある」と。豊かな自然と歴史、個性ある食、時間的・空間的にゆとりある暮らしぶり。日本人特有の「東京はエラい、田舎はダメだ」という先入観がない分、外国人は地方の持つ世界的な価値を、ストレートに理解できている。
しかしそんな日本の地方都市には、確かに欠けているものもある。今の世界の最先端を走るような文化が乏しい。都会以上に男尊女卑の気風が残り、
この本は、そんな思いを本当に実現した人の物語だ。兵庫県北部・
巨大化する東京でガラパゴス化する日本と心中するか。小さな世界都市で、世界に通じる文化と暮らしを担うか。あなたはどっちだ? ぜひこの本を読んで考えて、できれば現地に足を運んでみて欲しい。
藻谷浩介
もたに・こうすけ●(株)日本総合研究所 調査部主席研究員