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青春と読書×藝大生コラボレーション【最終回】
第24回は、美術学部工芸科染織専攻4年の作品
アイデアのきっかけは絵本と一緒に眠りたい

[連載]

最終回 第24回 カバーアーティスト
戸部日向子さん

アイデアのきっかけは絵本と一緒に眠りたい

 私は工芸科で染織を専攻しています。大学の授業で「友禅染」が課題に出たときに、表紙の作品を作りました。着物の装飾などに使われる友禅染は、伝統的な染色技法の一つです。この技法さえ使えば、何を作るかは自由だったので、絵本を作ってみたいと思いました。表紙に載っているのは、その中の一ページです。
 幼少期、寝る前に母が絵本を読み聞かせてくれる時間が好きでした。お気に入りは『バムとケロ』シリーズ。ただ、絵本の難点は冷たくて硬いこと。絵本の世界に入り込んで寝たいのに、紙が許してくれません。布だったら一緒に眠れるのに、とアイデアが湧きました。内容については、これを制作していた頃、寝る前にネガティブな思考になりがちだったので、自分が幸せだった時間や思い出を表現することにしました。
 友禅染で絵本を作ったのは私だけで、他の人はだいたい十色、二十色くらいで収まっていたのに、私は百色以上を使いました。染めるだけで一ページ八時間くらいかかっています。大変だけど、その技法の新しい可能性を試したくなってしまうのです。絵とは違う色あいや濃度、質感を表現できる染織は面白く、もっともっと掘り下げていきたいと思っています。
 同時に、他にもやりたいことがたくさんあって、最近は、コンテンポラリーダンスにはまっています。とにかく芸術全般が大好きで、興味関心を絞ることができなくて困っています(笑)。アーティストといえば一つの道を究めた人、というイメージがありますが、そうでないアーティストのあり方を求めていけたらと思っています。

<藝大生に聞く!Q&A>

Q 最近感動した作品
オハッド・ナハリン/バットシェバ舞踊団「MOMO」
上原ひろみ「Kaleidoscope」

Q 最近興味のあること
コンテンポラリーダンス、お茶湯

Q 東京藝大での印象的な思い出
制作中、気化した蠟燭を吸い込みすぎて喘息を発症、最終的に肋骨にヒビが入ったこと

Q 今後の展望
パフォーマンス系のアートを今年中にしたいのと、海外でアートをできれば良いなと思ってます

戸部日向子

とべ・ひなこ●2001年生まれ。
東京都出身。東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻4年。
Instagram/@toto.rororo
X/@TobeHinako

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