「感じたいのはそこに居て暮らす人たちの息吹。上辺だけの知識なんて興味はないわ」

　おしゃれでちょっぴりツンデレなオッドアイの白猫アンジーが旅する本の世界。初となる今回、アンジーが手にしているのは「世界の民族衣装の本」です。
　アンジーはおしゃれが大好き。服づくりも得意で、「自分が着る服は自分でつくる！」が信条。洋服やファッションに関する本を見ることも大好きです。そんなアンジーがある日、新しい洋服づくりのアイディア源になるかもと手に取ったのは世界の民族衣装を紹介した本。アンジーはそこで見たモンゴルの民族衣装に魅せられてしまいます。
　素朴な風合いのものもあれば色鮮やかな文様（もんよう）や刺繡で彩られたものもあり、装飾がふんだんに施された華やかな髪飾りや帽子など、これまでに見たことがないものばかりでした。さらにそれを身につけた女性たちの凜とした佇まいといったら！
　その豊かな表現に興味を持ったアンジーはモンゴルのことをもっと知りたいと、モンゴルの歴史やそこで生きる人たちの生活を調べ始めます。

　そこにあったのは広大で自由で、時代とともにうつろい変化しつつも確固として変わらない文化や歴史を持つ国の姿。大草原に広がるいくつものゲル。何世代もが共に支え合いながらたくさんの山羊や羊とともに移り住む遊牧民の暮らし。そのどれもがアンジーにとって初めて知る刺激的なことばかりでした。そんな、異国情緒あふれるたくさんの歴史資料を見るうちに、これまで知らなかった世界の魅力にさらにアンジーはハマっていってしまいます。
　そして、ついに……

「ファッションは文化。源流を知ってこそ真のおしゃれが生まれるのよ！」

　と、アンジーは実際に自分の目で、耳で、肌でそれらを感じたいと、モンゴルへ行くことを願うようになっていったのです。
　表紙の絵は、そんな今はまだ見ぬモンゴルの地に降り立つことを思い描いているアンジーの、「未来」の姿を描いたもの。この絵のように大草原で馬に乗り駆け回る、そんなアンジーの姿をみなさまにお届けできる日も、そう遠くないかもしれません。

　来月は「ミステリー」の世界を旅するアンジーをお送りします。ぜひご覧ください♪