[連載]
[第8回]「体調は常に不調」。それが「普通」の更年期世代。
「もしかしたら、更年期障害なのかもしれない」と、感じ始めたのは51~52歳くらいの頃。まず、ズドンと気持ちが落ち込みやすくなったんですよね。でも、人間、生きていれば落ち込むことなんて普通にあるわけで。あまり気にしないでいたら、今度は眠りが浅くなり、さらには、異常な暑さを感じるように。これもホットフラッシュの一種なのでしょうか。ただでさえ眠りが浅いのに、暑さによる寝苦しさで深夜に何度も覚醒。以前は湯たんぽがわりに重宝していた愛犬のパコ美ですらも今は暑苦しくて、布団への侵入を断固拒否。この冬は一度も暖房をつけずに過ごしましたからね。
「もしかしたら」と調べると、案の定「更年期の症状です」という回答にぶち当たる。疑惑が確信へと変わるなか、生理の回数も徐々に減少。「あれ、3ヶ月来てないな」が「半年来てないな」に変わり、「遂に終わったのかな」と思いきや、ふいにまた突然やってきたりする……。女心を惑わせるダメ男のごとく、気まぐれに私を振り回す月経周期。乱れるばかりのその周期に「ああ、閉経間近なのだな」と痛感する今日この頃。カウントダウンが始まっているからこそ、最近はナプキンを買うのもちょっと嬉しくてね。全部使い切れるかどうかもわからないのに「どのナプキンにしようかな♡」って、ウキウキしながらいつもより高級なものを選んでみたりして。
〝更年期〟とは閉経前の5年間と閉経後の5年間をあわせた10年間のことを言うそうです。今の私は間違いなくその更年期ゾーンにいるわけですが、症状は軽いほうなのかもしれませんね。「
個人差が大きいと言われている更年期障害。私の症状はやはり軽いほうなんだろうなとは思う。だけれども、決して絶好調な状態ではないわけで。バラエティタレントの性を武器に仕事をやり終え、テンションが上がったまま家で酒を飲んで、そのまま寝たかと思いきや眠りは浅く、深夜に暑さを感じて何度も起きて、時計を見ては「まだ1時間しか寝てないじゃん!」と絶望。で、翌日は寝不足のまま仕事場へ……。ここ数年、ず~っとその繰り返し。もうね、ず~っと体調は不調なわけですよ。ただ、年齢を重ねると、膝が痛いとか、腰が悪いとか、誰しもがどこかに不調を抱えていて。そもそも「今日は絶好調!」っていう日のほうが珍しくなるから。そんな老化の流れに乗ってヌルッと更年期はやってくるから。突然やってくるわけじゃないから。普段の不調に少し深みが加わった、くらいの感覚でどうにかなっているんだよね。
私が老いをしっかり自覚したのは45歳ぐらいだったかな。お酒が残る、目の下のクマがとれない、起きたら関節が
今の私が立っているのはきっとまだ初老のスタートライン。多少不具合があっても、まだ動く、まだ聞こえる、まだ見える。だからこそ「STOP!! 加齢!!」。今日もまた日課のアンチエイジングエクササイズに励み、高価な若返りサプリを飲む私。尿もれ防止のための骨盤底筋スクワットも、そろそろ始めようと思います。
聞き手・構成=石井美輪
イラストレーション=中村桃子
大久保佳代子
おおくぼ・かよこ●タレント。
1971年5月12日生まれ、愛知県出身。千葉大学文学部卒業。1992年、幼なじみの光浦靖子と「オアシズ」結成。「めちゃ×2イケてるッ!」でのブレイク後、バラエティ番組にとどまらず、コメンテーターや女優としても活躍している。近著にエッセイ集『まるごとバナナが、食べきれない』など。