[本を読む]
曰 くを祓い、心を晴らす新シリーズ!
「好きを仕事にしたい」という気持ちを抱く人は、決して少なくない。
けれど実際、具体的な話になれば、好きを仕事にする道は険しく、その職に就けたところで現実は甘くないのが常だ。
本書の主人公・
その新たな職場が「事故物品リユース課」だ。勤務地は浅草
仕事のモチベーションも上がらないなか、ふたりはこの無理難題としか思えぬ業務とどのように対峙していくのか。ちんちくりんな双葉とモデル体型の和泉、顔はエモいのに格好はイモい神社の清掃員(と双葉が思い込んでる)など、キャッチーでいて深いキャラクター造形。火を招く雛人形や啜り泣く結婚指輪といった三つの怪奇品の「物語」。文章に勢いがあり語りも巧く読み心地がよいのだが、何よりも「仕事」と向き合う姿勢が読ませる。堅苦しくも重くもないのに説得力があるのだ。いやいや凄い。
甘くないけど悪くない、「好き」を超えたその先へと進んで行くヒントがきっと見つかる。
藤田香織
ふじた・かをり●書評家