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カトリーヌ10世が読む、
編集者トガッチのファッション指南本

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錦の心に「正しい」服を

 日本のビジネスシーンを見渡しますと、残念を通り越して国辱レベルの装いの男性が一定の割合で存在しています。彼らは往々にして、頭がよく仕事もできます。ただ、外見に無頓着なのです。あるいは、「ボロは着てても心は錦」教を信奉し、身なりがよいことをあたかも詐欺師、よくて軽薄のあかしのようにみなしているようです。
 なんともったいない。錦の心、シャープな頭、優れた仕事能力。これらを過不足なく相手に伝えるための確実な戦略、それが服装術なのですから、使わない手はありません。
 では、正しい服装術とは? 服装指南の情報は世にあふれているのに現実が変わっていないということは、教えが届いていないということですね。服装指南はやはり、「誰が教えるのか?」が重要で、外見の説得力を欠く評論家がいくら正論を説いてもダメなのです。
 その点、トガッチこと戸賀敬城ひろくにさんは、服装指南人として合格です。メンズファッション誌の編集長として誰もが認める結果を出してきたビジネスパーソンであり、教えに説得力をもたせるかっこよさがあります。チャラく見られがちなのが玉にきずですが、実際にお話しすると誠実でまじめなビジネスパーソンであることがわかります。このギャップの威力を自覚するほど外見のコントロール力にけたトガッチの指南ですから、試す価値は十分あります。
 ところで、服装指南においてはイギリス原理主義を貫く保守派、イタリア的くつろぎを支持するリラックス派、そして両者のいいところどりをする日本的中道派があります。トガッチは中道派を基本にしつつ、どの流派にも属さないトガッた指南を時折、さしはさんできます。たとえば「傘はあげてしまえ」「スーツは三万円で買い、三年で捨てろ」「週末を感じさせるブレスレットをつけろ」など。流派が違えば眉をひそめられることもある教えであると了解しつつ、試行錯誤して自分の基準を見つけていただきたい。そのあかつきには、「スタイル」なるものが手に入り、ビジネスにおけるあなたのステージも、格段に上がりやすくなっているはずです。

カトリーヌ10世

かとりーぬ・じゅっせい●リベラルアーツ王国の女王

『結果を出す男はなぜ「服」にこだわるのか?』

戸賀敬城 著

発売中・集英社文庫

本体600円+税

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