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青春と読書×藝大生コラボレーション
第17回は、工芸科3年の作品
鋳金という人工的な技術と自然が織りなすアートが面白い

[連載]

第17回カバーアーティスト
齊藤はるのさん

鋳金という人工的な技術と
自然が織りなすアートが面白い

 表紙の作品は〈春の訪れを待つ花〉と題したブローチです。春に咲くチューリップのつぼみをモチーフに、「有線ゆうせん七宝しっぽう」という七宝焼の技法でつくりました。七宝作品の魅力に魅せられて(取手校地にて)自主制作しました。
 有線七宝というのは、銅板の上に金線や銀線で模様を描いて溶かしたりしつつ定着させ、その上に、ガラスなどの釉薬ゆうやくをのせて焼き付けていく伝統技法です。
 表紙のブローチは、全体をつぼみに見立て、表面に銀線で雄しべを描きました。動きのある雄しべをのせることで、花びらが変化していくさまを表現できたらと考えたのです。銅板の表面にはガラスを重ねているので、光の加減できらきら光るブローチに仕上がっています。
 このブローチの写真を撮るのに、ちょっと苦労しました。紙を敷いたり、アクリル素材の上で撮ったりしたのですが、質感や立体感、雄しべがクリアに表現できず……最終的に、家に転がっていた缶の上に置いて撮ったら、いい感じになりました。
「植物」は興味のあるモチーフで、ほかにも作品をつくっています。鋳金という人工的な技術と、自然を合わせることで生まれるテクスチャーや、それが人に与える感覚が面白いなと。以前、表紙を担当したときもお話ししましたが(本誌2023年11月号「椅子」)、生活に寄り添うアートを追い求めていきたい、とも思っています。

聞き手・構成=砂田明子/撮影=木内章浩

<藝大生に聞く!Q&A>

Q 最近感動した作品
三宅唱監督の映画『夜明けのすべて』

Q 最近興味のあること
アイスランド。自然と人との共存が、良い幸せの形だなと感じる

Q 東京藝大での印象的な思い出
工芸科の学生主体で毎年行われる鞴祭ふいごまつり。衣装トラブルなども含め良い思い出

Q 今後の展望
広告関連、もしくは雑誌をつくる仕事に就きたい

齊藤はるの

さいとう・はるの●2000年生まれ。
神奈川県出身。東京藝術大学美術学部工芸科鋳金専攻3年。
Instagram/@hano3131r

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