[連載]
第11回 カバーアーティスト
藤本 楓さん
貝殻の複雑な質感を描きたい
貝殻の形や手触り、色味などに昔から興味がありました。以前、フジツボを描いたら楽しかったので、表紙は、貝殻をモチーフにしてみようと。後でフジツボは甲殻類だと知りましたが、その時は、貝だと思っていたのです。実際に見ると気持ち悪いと思われる方が多いかもしれません(笑)。でも私は、自然が生み出したこの複雑な質感がとても好きで、描きたくなるのです。
表紙の絵は、貝殻を写実的に描いたのではなく、イメージを膨らませていきました。とくにゴツゴツ、ザラザラした質感、妙な模様を描くのが楽しかったです。貝殻の並べ方も考えました。四角い画面にぴったりおさまるように、それぞれの形状や配置を決めていくのが気持ちよかったですね。
この絵には、いろんな画材を使っています。今回、チャレンジしてみたかったのが、日本画で使われる岩絵の具と
表現手段や媒体を固定しない取り組み方に憧れます。たとえば絵も切り絵もガラスもやっていたピカソやマティスのように、私も平面も立体もデジタルも、やりたいことは全部やりたい。同時に、自分の核を固めていけたらと思っています。
聞き手・構成=砂田明子/表紙絵撮影=木内章浩
<藝大生に聞く!Q&A>
Q 好きな本
『完全なる首長竜の日』(乾緑郎 著)、『白いへび眠る島』(三浦しをん 著)、『イン・ザ・プール』(奥田英朗 著)
Q 興味のあること
印刷について、大昔の生き物について、語学
Q 憧れのアーティスト
特定の方はいません。媒体を固定せずにやりたいことをやる(作る・表現する)人になりたいとは思っています
Q 東京藝大はどんな大学か
濃い人がたくさん集まっている
Q 今後の展望
自分のやりたいことを全部やる
藤本 楓
ふじもと・かえで
2000年生まれ。神奈川県出身。東京藝術大学美術学部デザイン科3年。
Instagram/@mojimojimojifujimoji