青春と読書 本の数だけ、人生がある。 ─集英社の読書情報誌青春と読書 本の数だけ、人生がある。 ─集英社の読書情報誌

定期購読のお申し込みは こちら
年間12冊1,000円(税・送料込み)Webで簡単申し込み

ご希望の方に見本誌を1冊お届けします

連載/本文を読む

青春と読書×藝大生コラボレーション 
第8回は、絵画科3年の作品
動物の骨が訴えかけてくるもの

[連載]

第8回カバーアーティスト
阿部れいなさん

動物の骨が訴えかけてくるもの

 表紙には、私の好きな、動物の骨を描きました。
 3つの動物の骨を重ねて描いています。手前にハヤブサの骨、真ん中にマーラという、カンガルーに似ているけれどカピバラと同じ齧歯類げつしるいの動物の骨、一番奥にあるのがハイイロアザラシの肋骨です。
 東京駅の近くに、インターメディアテクというミュージアムがあります。ここに展示されていた動物の骨格標本を見て、描きたい、と思いました。ごちゃっとしていて少しわかりにくいかもしれませんが、骨の交差が作るシルエットも面白いと思ったので、3つの動物の骨を選び、春を意識して、爽やかなターコイズ系の色で仕上げました。
 絵を描く対象として、生きているものより、死んでしまった人や動物に惹かれます。もう言葉を発することができないぶん、体が持っている機能美や、時代に淘汰されて残った形状の美しさ、そういったものが強く静かに訴えかけてくるように感じます。
 私は日本画を専攻していて、この表紙絵は、日本画の画材である「岩絵具」を、にかわで溶かして描きました。
 高校生のときに授業で日本画を体験して、日本画専攻を決めました。岩絵具や水干すいひ絵具といった日本画の画材でしか表現しえない風合いや表情に憧れたのです。ただ、日本画といっても、何をどう描くかは、人によって様々です。私も好きな絵を描いていきたいと思っています。

聞き手・構成=砂田明子/撮影=木内章浩

<藝大生に聞く!Q&A>

Q 好きな本
『流れ星が消えないうちに』(橋本紡 著)

Q 興味のあること
動物の骨、デジタルイラスト、VTuber(夢追翔)

Q 憧れのアーティスト
髙島圭史

Q 東京藝大はどんな大学か
絵が好きな人がたくさんいて居心地が良いところ

Q 今後の展望
まわりに左右されずに、自分が良いと思える絵を描いていけたらと思います

阿部れいな

あべ・れいな
2001年生まれ。埼玉県出身。東京藝術大学美術学部絵画科3年。
X /@c0eeef
Instagram /@byakugun813

TOPページへ戻る