[本を読む]
半人前の孫娘と祖母のタッグがいい!
爽快で、痛快で、ぴしっと筋が通っていて、それでいてちょっぴり切ない。これは気持ちのいい物語だ。
幼くして火事で両親を亡くした
だが鈴はこの祖母を少々苦手にしている。絹の仕事は金貸し。しかも証文通り返せないなら家や娘を売らせてでも回収するという厳しさだ。金を貸すときには研ぎ上げた
本書はそんな絹と鈴を中心に、絹の弟で岡っ引きの
第一話では借金を返せなくなった商家の主人が首を
どの事件も最初に気付いたり巻き込まれたりするのは鈴で、そこから彼女も自分なりに探索するのだが、人生経験の少なさゆえに一歩及ばない。そこをカバーするのが絹であり倉蔵だ。鈴は毎度、半人前を自覚してほぞを嚙むことになる。
それは謎解きにとどまらない。鈴は困っている人を助けたくて、絹に借金の返済を待つよう頼んだり、時には自ら立て替えたりする。しかし絹はそれを認めないのだ。借金をするには覚悟がいる、証文を交わしたからには責任を持つのが筋だと鈴を
幼馴染や地回りなど脇の人物も魅力的だし、シリーズ化されるのであれば、今後はきっと鈴の成長も見られることだろう。今から次が楽しみである。
大矢博子
おおや・ひろこ●書評家