[本を読む]
「割り切れない」を諦めない
うだつのあがらない大人と、周囲が手を焼く「問題児」たち。幼い頃からこの組み合わせが大好きだった。子供たちの一挙一動に振り回される大人の姿を見て笑い転げ、自分もまた、彼らと同じように混乱を巻き起こせる存在であることを誇らしく思ってもいた。
でも、いつのまにか笑って見られなくなったのは、要するに自分が「大人」になったってことなんだろう?――そんなふうに、
物語の主人公・リリアンは、レジ打ちの仕事を掛け持ちしながら日々を食いつないでいる若い女性。二十八歳にして実家の屋根裏部屋で寝起きする人生に
彼らは生まれ育った邸宅に再び引き取られたものの、日がなプールに閉じ込められ、許可なく母屋に立ち入ることも許されない。家族の安全を守るためといえば聞こえはいいが、その「家族」の中に双子がカウントされていない実態にリリアンは複雑な思いを抱く。かつて自分も、必死で手に入れたはずの楽園からあっさりと切り離された過去があるからだ。
では「大人」になってしまえば傷口は癒えるのか。その答えをすでにいやというほど知っているリリアンは、これまで目を
脇役という言葉を用いるのが
倉本さおり
くらもと・さおり●書評家