[談話]
第166回直木賞受賞
今村翔吾『塞王の楯』
今村翔吾さんの『
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直木賞はこれまで二度の候補に挙がり今回は三度目。前二回と違って、今回の『塞王の楯』の売れ行きは徐々に加速を増し、賞の発表直前にピークに達する動きを見せた。それを知ったとき、「いくんちゃうか」と思ったそうだ。
デビュー五年足らずにして念願の賞を射止めて、「もう、夏と冬の季節に電話待たんでいいんや、とめちゃくちゃ気が楽になった」し、何より賞を獲った瞬間に文体が変わったという。「たとえば、それまでは『
「受賞が決まってから小説が急にうまくなった気がする。これは直木賞効果ですね。まだまだいけるぞ、伸びるぞ、と。少し仕事を減らした方がいいという声もありますが、今やっておかないと後悔すると思う。今が人生で最大のチャンスというか、とにかくいろいろなことをやってもう一段階さらにつきぬけたい。それに、過去の直木賞作家の方々と同じ土俵に上がる資格が得られたわけで、すごい人たちと戦えるのは怖くもありますが、ワクワクするような楽しみもある」と。
四十五歳くらいまではこのスピードで駆け抜けて、他の作家たちと一緒になって、かつて司馬遼太郎さんたちが築いた歴史・時代小説の活況を取り戻したいという今村さん。その先頭に立って旗を振る今村さんの姿が鮮やかに浮かぶ。
今村翔吾
いまむら・しょうご●作家。
1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞)でデビュー。著書に『童の神』(角川春樹小説賞)『八本目の槍』(吉川英治文学新人賞)『じんかん』(山田風太郎賞)、「羽州ぼろ鳶組」シリーズ(吉川英治文庫賞)、「くらまし屋稼業」シリーズ等多数。