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今年もまた“ナツイチ”の季節がやってきました。 今年のイメージキャラクターは女優の蒼井優さんです。テレビ、映画で活躍中の蒼井さんは、移動の途中など暇を見つけては詩集などを繙(ひもと)くという本好き。そして学生時代、夏休みには毎日2、3冊の本を読み続けていた石田衣良さん。おふたりに、読書にまつわる楽しいお話をしていただきました。 石田 蒼井さんのウェブ連載(WEBダ・ヴィンチ)のエッセイを拝見しましたよ。 蒼井 読まれました? わたし、文章書くのがすごく苦手で。 石田 いや、けっこう長い文章も多くて、ふつうはなかなかあんなにきちんと書けない。もともと本を読むのはお好きだったんですか。 蒼井 小学校低学年のときは戦争物の本をよく読んでました。 石田 戦争物の本って、「ガダルカナル海戦」とかですか(笑)。 蒼井 いえ、絵本です。博多の空襲のことを書いた『火の雨がふる』とか『東京大空襲』みたいのが、なぜかすごく好きだったんです。 石田 子供のころに空襲の話を読むというのはすごいですね。おじいちゃんやおばあちゃんがそういう話をしてくれてたんですか。 蒼井 そういうことはまったくないんですけど、ただただ興味があって。ちゃんとした小説は、小学校の3年生か4年生のときに読んだ『路傍の石』がはじめてです。 石田 そういう本が手近にあるということは、本がたくさんあるご家庭だったんですね。 蒼井 そうですね。訪問販売で本を売りに来たりすると、母は乗せられてすぐ買っちゃうんです。なので、よくわからない絵本とかたくさんありました。 石田 本を読むことはお芝居の上で役に立ちます? 蒼井 本を読むのと台本を読むのとは感覚がちがうから、わたしの中ではあまりつながってる感じがしないんですけど、本を読むことで想像力が養われることはあると思います。 石田 台本というのはブツブツと切れてるし、背景の描写なんかもあまりない。台本の場合は「直す」というじゃないですか。前後を入れ替えたり、途中を詰めて短くしたりとか。ところが小説の場合、こことここを入れ替えればいいとかいわれても、それは腕と足を切ってその腕と足を入れ替えるみたいな作業なので、もしやったとしても神経が全然通じなくてうまくいかない。だから小説は直しがきかず、一回書いたらそのままという感じで、その点では台本とはずいぶんちがいますよね。 蒼井さんはデビュー何年目になるんですか。 蒼井 99年にデビューですから、7年目です。 石田 じゃあ、すごく早くからやってらしたんですね。 蒼井 中学校三年からです。ただ、そのころは何も考えていなくて、わたしはなんでここにいるんだろうって感じで。 石田 お芝居が面白くなったのはいつごろですか。 蒼井 2年前くらいです。 石田 それは何かキッカケが? 蒼井 一昨年『花とアリス』で釜山国際映画祭に行ったんです。初めての国際映画祭ですごく刺激を受けて、やっぱり映画って面白いって感じたのと、韓流ブームで日本では韓国の作品がたくさん紹介されているのに、日本の作品が向こうであまり認知されていないことがすごく悔しくて。 石田 いま20歳ですよね。その歳でちゃんと仕事の面白さを知っているというのは偉い。 蒼井 石田さんは20歳のころ、何されてました? 石田 26年前かあ(笑)。大学に行かずに毎日ふらふらしていて、アルバイトなんかもしてました。たまに女の子と付き合うくらいで、フラストレーションが溜まるとディスコに行くという感じかな。でも、本はよく読んでいた。1日に2、3冊ずつ、いくら読んでも飽きないし、面白い本が次から次へと見つかった時期でしたね。 今は、どんな本が好きなんですか。 蒼井 わたし、絵本が好きで、とくに酒井駒子さんが書かれる本がすごく好きです。精神的に辛かったときに酒井さんの絵本を読んだら、その辛くなった原因と通ずるものがあったわけじゃないんですけど、なんかすごく楽になって。それまであまり眠れなかったのが、読んでいるうちにうとうと眠くなって、読み終わったときにはそのまますうっと寝入ってしまった。起きたときには頭がすごいすっきりしてたということもありました。 石田 酒井さんは、どんな絵本を書かれているの? 蒼井 わたしが一番好きなのは『ぼく おかあさんのこと…』という作品で、ウサギの男の子がおかあさんが大好きだというそれだけの話なんですけど、絵がすっごい愛らしくて、思わずその男の子を抱きしめたくなっちゃうような。 |
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(一部抜粋) |
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