■「母なる大地」に生きる
季節がおかしい。冬に防寒着を着ることもなく春を迎え、桜の開花も早かった。そして昨夜から、4月初旬なのに熱帯のスコールのような激しい雨が降っている。窓をうつ雨音が銃弾の音に聴こえる。そのせいかまどろむ中で血なまぐさいテロの悪夢を見た。戦争、テロ、飢餓、自然破壊――。今やこれらの危機は連鎖している。これからは水や食料のために戦争が起こるかも知れない。人類は数万年の歴史の果てに破局を迎えようとしているのだ。
「すべては、人間がみずからまねいた禍いだった」(レイチェル・カーソン『沈黙の春』青樹簗一訳/新潮文庫)。温暖化の問題が語られて久しい。しかし進行は緩やかだと信じ、未知の危機にいかに鈍感だったことか。「自然は、沈黙した。うす気味悪い。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか」(同)。1962年に書かれた未来の姿が現実となった。もはや引き返せない所まで来ているのか。残された時間はあとどれほどなのか。あと2世代?1世代?人類にチャンスが残されているならば、破局から逃れるためになにをなすべきなのか。
この本の著者グレッグ・ホーンは一人一人が消費生活を変えることで破局への道を止められると語る。本には暮らしを変えるための術が具体的にわかりやすく書かれている。社会のシステムも変えなくてはならない。7月の洞爺湖サミットでは一歩ではなく二歩、三歩踏み込んだ合意を期待したいが、果たしてどうだろう。政治家に期待するよりも、まずは身の回りから始めてみよう。ここに書かれているダイオキシンの恐ろしさも知るべきだ。6月に公開するドキュメンタリー映画「花はどこへいった」では、ベトナム戦争で散布された枯葉剤に含まれるダイオキシンなどの被害が3世代に及んでいることが描かれている。母乳に含まれるダイオキシンの濃度が、日本はベトナム・ダナン市についで多いという統計を見たことがある。
「母なる大地」という言葉をもう一度思い起こしてみよう。地球の上に生きる、そのように意識を変えなければ私たちは生き残れない。しかし遅くはない。
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『あなたが地球を救うグリーン・ライフ革命』 集英社単行本 2008年6月26日発売 定価:1,995円(税込) |
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