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鬼才・乙一さんの新作『The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜』(11月26日発売)がついに完成! マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』のノベライズである本作の発売を記念し、乙一さんと原作者・荒木飛呂彦さんの“ジョジョ対談”が実現した。 ★『The Book』はかなり熟成されている ――この『The Book』は、マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』第4部「ダイヤモンドは砕けない」のノベライズなんですが、乙一さんはオリジナル作品を執筆するときとの違いはありましたか? 乙一 マンガでは絵で見せているバトルシーンは、文章では表現しにくい感じがありました。特に主人公の仗助(じようすけ)たちが持つ能力「スタンド」を、文章でどう描けばいいのか最初はまったくわからなくて……。仗助の仲間の億泰(おくやす)が持つ「ザ・ハンド」の「空間を削る能力」も、小説で書くにはどうしようって困りながら書いてました(笑)。 荒木 やっぱり(笑)。マンガだと1コマのアクションでも、文章にすると違ったりするの? 乙一 変わりますね。昔はマンガ的なバトルは文章では無理だと思って避けていたんですが、今回は挑戦しました。やってみて楽しかったです。逆に心のなかの描写は、小説のほうがマンガよりも違和感なく挿入できそうだなと思いました。 荒木 マンガだと、連載が少年誌という理由もあるけど、たしかに深い部分は入れにくいかもしんない。 乙一 それと、うまく言えないんですが、例えば映画は映像を観ながら心のなかで言葉を浮かべる感じが面白くて、小説は言葉を読むことで映像が浮かぶのが面白いんです。マンガも、コマとコマの間に情感があるというか特別な感じがあって、そこは小説ではたどり着けないと思いました。 ――荒木さんは、ご自分のマンガがノベライズされるというのはいかがですか? 荒木 別に大丈夫なんですよ。才能のある作家さんが小説にしてくれるのはすっごく面白いですし。特に今回の『The Book』はスッと入っていけるんで。 ――『ジョジョ』の世界に入れる? 荒木 そう、馴染(なじ)んでるんですよ。引き込まれるっていうか。乙一さんの仗助になっていて。マンガのノベライズってあまり読んだことがないから誤解しているのかもしれないけど「ちょっと原作と違うなー」って思うこともあったんですよ。でも、この『The Book』はかなり熟成されていましたね。書き上げるのに何年かかったんでしたっけ? 乙一 何年かかったのかな……、多分5年くらいだと思います。大量のボツ原稿があります。結局、2000枚以上書いたはずなんですが、思い返すと5年はアッという間ですね。
『ジョジョの奇妙な冒険』とは 「週刊少年ジャンプ」連載(第1部〜第5部1987年〜1999年、第6部2000年〜2003年)で大人気を誇る荒木飛呂彦氏のマンガ。現在は「ウルトラジャンプ」で第7部「スティール・ボール・ラン」を連載中(2005年〜)。独特の世界観、緻密な絵柄や特異なポージング、他に類を見ない台詞まわしや擬音の数々は、一般読者のほか、マンガ家、クリエイター、アーチストにも多大な影響を与え続けている。コミックスは発行累計7000万部を突破、また連載開始20年を迎えた今年2月には、第1部「ファントムブラッド」が劇場アニメとして公開された。 物語は、イギリスの貴族・ジョースター家の血統を継ぐ者と、その宿敵・ディオの血統を継ぐ者との、1世紀以上にわたる戦いが描かれている。各部ごとに主人公は異なるが、いずれも「ジョジョ」という愛称をもつ。 これまで第3部と第5部がノベライズされたが、このたび刊行される『The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜』は第4部の外伝として書かれたオリジナルストーリーで、自ら『ジョジョの奇妙な冒険』の大ファンと公言する乙一氏が、構想&執筆に5年以上もの時間を費やした渾身の力作である。 |
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